2012年02月03日 (金) | rewrite |
節分である。ウチはいわゆる「験を担ぐ」のがはずせないタイプで、もちろん毎年、豆まきと恵方巻(これはなんとなくだが)は欠かせない。なので、学校が終わってから、お寿司屋さんへ行こうという事になった。
入るとさすがに満杯で、なんとか少し寄っていただいて隙間に潜り込む。と、隣にはりんごのほっぺたの男の子(高校生くらい?)とおばあちゃんがお寿司を食べていた。が、このおばあちゃん、かなり出来上がっている。デカい声で喋りまくり。周りのお客さんも怪訝な表情だ。しかも、唾が飛んできそう、いや、飛んできた。
いやん。
しかも、イヤでも聞こえてくる話の内容から、男の子は明日の大学受験のために上京しており、近所のホテルに泊まっていて、夕食をとこの店に入っておばあちゃんに捕まったらしい。
「ほら、これ、食え!美味しいから!」
「ボク、本当にカニ味噌は苦手なんです。」
「何、言ってんだ、うまいから食え!」
この調子である。
さすがに見兼ねた大将が、
「ほら、嫌いだって言ってるんだからさぁ・・・」
この押し問答が約10分間。こっちは可愛く恵方巻に見立ててのり巻きを食べに来たのに、落ち着かないったらありゃしない。男の子は早く帰りたそうだ。そりゃそうだよ、受験やで、明日!
プチン
(←スイッチ)
なるたけ温和な声で、でも言っちゃった。
「すみません、唾を飛ばしてしゃべらないでくださいな。」
「なんだとぉ!いつ飛ばした、どこに飛ばした!何さまだよ!」
えらい剣幕や。お店の雰囲気がいっそう悪くなる。
「それに、お兄ちゃん、もう帰りたそうだし。」
また言ってしもた。
おばあちゃんは荒れまくる。その隙にお兄ちゃんは帰って行った。おばあちゃん、お手洗いに行くのに、その辺のお客さんにも
「一体、何さまだよ、あいつ!」
とわめきながら。あーあ、お店の雰囲気、台無しじゃん。大将が「すみません」とウィンクしてくれたけど、余計なひと言だったかな。大将、堪忍ね。
おばあちゃん、戻ってきてまだ、ブツブツ言ってるし、今度は一人で日本酒を飲みだした。それを見てるとね、ふっと可哀想になった。この人、一人なのかな。それとも家に帰りたくない理由があるのかな。
「大将、ウチもお代わり!」
おばあちゃん、こっちを伺っている。ま、ええか、他のお客さんもたまらないやろうし。
「おばあちゃん、さっきはキツい事言ってごめんな。そやけど、ちょっと大声すぎるで。ほな乾杯!」
キョトンとするおばあちゃん。でもすぐさま謝ってきた。言ってみるものだ。
「いいの?いいの?一緒に飲んでくれるの?」
う~ん・・・
嬉しかったみたい。ウチの肩に抱きつきながら色々と喋ってくれた。淋しい気持ち、よく分かったよ。
だけどね。
「あ、アカン、アカン!!」
ひっくり返っちゃいました。お~い!
完璧に酔っぱらってるし。お店の入り口、ふさいじゃうし。
「アカンよ、お客さんの邪魔になっちゃうから、立とうね。」
「自分で立てる!」
無理や、無理。
結局、大将が出て来て抱き起こす羽目に。
また余計なひと言だったのかな・・・
ついに連れ合いがおばあちゃんにひと言。
「自分がどのくらい酔ってるか、ちゃんと考えて飲め!」
ほんならおばあちゃん、泣き出しちゃった。
「そんな事、言ってくれる人いないんだ。分かってても、誰も言ってくれないんだ。」
そうだね、今の世間はそうかも知れない。なんか、身につまされるなぁ。
「お前がいたら、あのおばあちゃん、ナンボでも飲むから行くぞ。」
そっか。それがおばあちゃんにもええんやね。大将がウチらにえらく謝ってくれたけど、誰が悪いんでもないよ。淋しい気持ちというものは、人間を変えてしまう。
「またこの店に来る?また会える?」
帰り際に必死の表情で言っていたおばあちゃん。またいつかね。
帰宅して、無事に豆まきをしたのでありました。
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入るとさすがに満杯で、なんとか少し寄っていただいて隙間に潜り込む。と、隣にはりんごのほっぺたの男の子(高校生くらい?)とおばあちゃんがお寿司を食べていた。が、このおばあちゃん、かなり出来上がっている。デカい声で喋りまくり。周りのお客さんも怪訝な表情だ。しかも、唾が飛んできそう、いや、飛んできた。
いやん。
しかも、イヤでも聞こえてくる話の内容から、男の子は明日の大学受験のために上京しており、近所のホテルに泊まっていて、夕食をとこの店に入っておばあちゃんに捕まったらしい。
「ほら、これ、食え!美味しいから!」
「ボク、本当にカニ味噌は苦手なんです。」
「何、言ってんだ、うまいから食え!」
この調子である。
さすがに見兼ねた大将が、
「ほら、嫌いだって言ってるんだからさぁ・・・」
この押し問答が約10分間。こっちは可愛く恵方巻に見立ててのり巻きを食べに来たのに、落ち着かないったらありゃしない。男の子は早く帰りたそうだ。そりゃそうだよ、受験やで、明日!
プチン

なるたけ温和な声で、でも言っちゃった。
「すみません、唾を飛ばしてしゃべらないでくださいな。」
「なんだとぉ!いつ飛ばした、どこに飛ばした!何さまだよ!」
えらい剣幕や。お店の雰囲気がいっそう悪くなる。
「それに、お兄ちゃん、もう帰りたそうだし。」
また言ってしもた。
おばあちゃんは荒れまくる。その隙にお兄ちゃんは帰って行った。おばあちゃん、お手洗いに行くのに、その辺のお客さんにも
「一体、何さまだよ、あいつ!」
とわめきながら。あーあ、お店の雰囲気、台無しじゃん。大将が「すみません」とウィンクしてくれたけど、余計なひと言だったかな。大将、堪忍ね。
おばあちゃん、戻ってきてまだ、ブツブツ言ってるし、今度は一人で日本酒を飲みだした。それを見てるとね、ふっと可哀想になった。この人、一人なのかな。それとも家に帰りたくない理由があるのかな。
「大将、ウチもお代わり!」
おばあちゃん、こっちを伺っている。ま、ええか、他のお客さんもたまらないやろうし。
「おばあちゃん、さっきはキツい事言ってごめんな。そやけど、ちょっと大声すぎるで。ほな乾杯!」
キョトンとするおばあちゃん。でもすぐさま謝ってきた。言ってみるものだ。
「いいの?いいの?一緒に飲んでくれるの?」
う~ん・・・
嬉しかったみたい。ウチの肩に抱きつきながら色々と喋ってくれた。淋しい気持ち、よく分かったよ。
だけどね。
「あ、アカン、アカン!!」
ひっくり返っちゃいました。お~い!
完璧に酔っぱらってるし。お店の入り口、ふさいじゃうし。
「アカンよ、お客さんの邪魔になっちゃうから、立とうね。」
「自分で立てる!」
無理や、無理。
結局、大将が出て来て抱き起こす羽目に。
また余計なひと言だったのかな・・・

ついに連れ合いがおばあちゃんにひと言。
「自分がどのくらい酔ってるか、ちゃんと考えて飲め!」
ほんならおばあちゃん、泣き出しちゃった。
「そんな事、言ってくれる人いないんだ。分かってても、誰も言ってくれないんだ。」
そうだね、今の世間はそうかも知れない。なんか、身につまされるなぁ。
「お前がいたら、あのおばあちゃん、ナンボでも飲むから行くぞ。」
そっか。それがおばあちゃんにもええんやね。大将がウチらにえらく謝ってくれたけど、誰が悪いんでもないよ。淋しい気持ちというものは、人間を変えてしまう。
「またこの店に来る?また会える?」
帰り際に必死の表情で言っていたおばあちゃん。またいつかね。
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